三越伊勢丹 グローバル・グリーン キャンペーン 2016
ネコと暮らすように考える
三越伊勢丹グループが5月に行う環境問題への意識啓発キャンペーンのクリエイティブディレクション。2016年のコンセプトとテーマの設定、メインビジュアルやムービーの制作、ウェブサイトの制作とコンテンツの編集、特別館内放送のプロデュース等を行った。
コンセプト及びテーマは「ネコと暮らすように考える」。大きな自然から考えるのではなく、人間とも暮らす身近な存在でありながら、決して媚びず、動物の自然/野生と上手に付き合う猫という存在を通して、地球や環境、自然への意識を広げるきっかけとすることができるのではないかと考えた。
人間が猫を飼うという状況は、実は人間が猫に仕えているのではないかとハッとする瞬間がある。関係は逆転している。
【コンセプトテキスト】
自然は人よりも先にありました。そして、人間は地球の自然を利用して生きてきました。動物のひとつである人間だけが自由に使わせていただいてきた、とも言えます。でも、私たちはいつの間にかそうしたことを忘れて、少し乱暴になってきたのかもしれません。木や水、空気、生き物に話しかけても返事が返ってこないからと、いつしか対話することをやめてしまったのかもしれません。
ともに生きる自然を支配し、思うままに使い倒そうとするのではなく、ともに生きてその一部を分け与えてもらうことによろこびを感じ、感謝を伝えること。コントロールしきれない大きな自然と、ここちいい関係が続くよう笑顔で対話し、行動し続けること。
それは、まるで猫と人の関係のようです。猫は人に飼われているのではなく、人が猫をお世話させていただいているのだ、とよく言います。つまり猫が主人です。気持ちとしては。
ただ、その主人は気まぐれです。でもわたしたちは、気まぐれさもひっくるめて猫を愛しています。わたしたちの浅薄な思惑を受け流す彼/彼女の自由さがたまらないのです。こちらが愛した分だけ返して!ではなく、こちらの無償の愛を受け取ってほしい、一緒にいてくれてありがとうという一方的なくらいの気持ち。
そこにあるのは、返事を求めない対話にもよろこびを感じる、ポジティブな想像力です。呼んで無視されようと、触ってシャーされようと、人の生活に寄り添いつつも決して媚びない彼らの生き方を讃え、想像と解釈とコミュニケーションを繰り返しながら、いつまでも仲良くあること。
つまり、私たちの想像力を引き出してくれる猫たちは、毎日の生活と大きな自然をつないでくれる、大切なきっかけでもあるのです。
猫と暮らすように、ポジティブな想像力でもって自然を考えてみる。猫という小さな存在を愛することが、自然あふれる豊かな未来につながっているかもしれません。
【credit】
Art Direction:岡本健(岡本健デザイン事務所)
Illustration:我喜屋位瑳務
Web Design/development:石黒宇宙(gm project)
Photograph:菊池良助
Announcement 01:水川あさみ『猫にかまけて』町田康(講談社)
Announcement 02:坂本美雨『フランシス子』吉本隆明(講談社)
Client:三越伊勢丹
Information
- Year
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2016
- Client
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三越伊勢丹
- Art Direction
- Illustration
- Web Design/Develoment