折坂悠太(歌)詞集『あなたは私と話した事があるだろうか』
とまどいと抵抗の詞学
出版レーベル「WORDSWORTH」を立ち上げ、その出版第一弾としてシンガーソングライター折坂悠太の(歌)詞集『あなたは私と話した事があるだろうか』を企画、編集、出版をおこなった。
サブスクリプションで音楽を“聴き”、ブックレットを手元で“触る”ことがなくなりつつある時代に、“読む”テクスト=(歌)詞を味わうものとして本という形で世に問い、残していくプロジェクトとして企画した。
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2023年、活動10年を迎える折坂悠太が歌い続けてきた、62曲の(歌)詞集。
歌唱という圧倒的個性だけでない、折坂のもうひとつの独創「(歌)詞」を読む。
ライブでのみ披露している詞や未発表の新作詞、書き下ろしエッセイを含む、234P。
著者:折坂悠太
出版社:WORDSWORTH(good and son)
編集:山口博之(good and son)
装丁:山田和寛+佐々木英子(nipponia)
価格:1,800円(税抜)
仕様:111×154mm/234P/上製本
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折坂さんの強烈な個性である歌声や歌唱法、メロディやリズムといった”歌唱”の要素から離れた、もうひとつの独創、言葉=”(歌)詞”を私たちはどんな響きで読むでしょうか。
折坂さんは都合のいい言葉で私たちを安易な納得へと誘いません。言葉にできないものに対して、わかったような言葉で誤魔化すことをせず、目をそらさずに見つ続けるのです。熱狂に巻き込まれることなく傍観するのでもなく、淡々と熱く、ためらいながら、抗いながら、私たちの方を向いています。
折坂さんは私たちに何を話しかけようとしているのか。社会的な分断が叫ばれ、考え、行動し続けることの困難と大切さを実感するいま、 改めて折坂さんの言葉を読んでいただけたらと思っています。
歌に乗せて“聴く”だけの言葉ではない、読み、想像し、対話するものとしてこの(歌)詞集をつくりました。ひとり静かにこの本を開き、自分だけの読み方で時間を過ごしていただけたらうれしいです。