『DESIGN IS DEAD!?』
Editing|Writing|
デザインは死んだのか
バッハ代表の幅允孝監修で企画されたデザインの歴史と現在、そして可能性を探る本を、企画段階から関わりながら編集と執筆を担当した。
東京オリンピックのロゴ・エンブレム問題に端を発するデザインやデザイン業界への不審、不安が広がるなかで、改めてデザインとは何であるのかを俯瞰的に問い直す必要があった。デザインは社会にとってどんな存在であるのか、ただ意味を伝達する以外にどんな役割があるのか、時代とデザインはどんな関係を築いてきたのか。
担当した記事は、東京芸術大学の教授で元「デザインの現場」編集長でもあった藤崎圭一郎へのデザインにおける批評についての取材、小田雄太と岡本健によるロゴデザインの現在をめぐる対談、ライゾマティクス代表の齋藤精一に問題解決とプロセスにおけるデザイナーの役割についての取材。
デザインは表現としてのかっこよさか経済効果において取り上げられる事が多い。ただそれは紹介であってそこに批評が介在することはほとんどない。ほぼすべてがクライアント仕事であるデザインの世界で批評をすることは、仕事の(売上)効果そのものへの影響もあるため、営業妨害と取られかねないからかもしれない。しかし、そうした批評的な視点の不在が、オリンピックのロゴやザハ・ハディドの問題以降、多くデザイン業界に降り掛かってくることになった。批評を恐れず、健全に機能する何らかのメディアが必要なのは、この本が出た2015年以降もずっと変わっていない。