NiCORON

Book Direction|
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ピンクという色は誰のためのものか

モデル・タレントの藤田ニコルがプロデュースするアパレルブランドのためのブックディレクション。

“自分らしくトレンドを取り入れた等身大のカジュアルブランド”であり、“ストリート & スポーティーなスタイルをベースにPopでHappyなイメージをプラス”したコレクションを展開している。

店内装飾は市松模様の床にピンクとイエローが配色のポイントに置かれている。ピンクという長く続く女性イメージとしての色をポイント的に打ち出すことで10代女性の好感度も高い。

ピンクをテーマに本を選んでほしいという依頼から始まった選書であったが、ピンクをメタファーとして様々な意味や解釈で本を選ぶ方法もあったが、本の表紙としてピンク色を使用している本は、既存のピンクのイメージを利用、応用しているか、逆説であったり皮肉であったりすることが多いということに気づき、ストレートにピンクの表紙の本を大量に調べ、内容とピンクの色の関係がブランドとお店にふさわしいものを最終的な選書とした。

現代アートとカルチャーにおけるピンクについてまとめた『Pink: The Exposed Color in Contemporary Art and Culture by Barbara Nemitz Karl Schawelka』や現代美術家マーク・ライデンの『Mark Ryden: Pinxit』などを始め、ファッションデザイナー、エルザ・スキャパレリの『ショッキング・ピンクを生んだ女』やジェンダーと色の問題を扱った『女の子は本当にピンクが好きか』などを選書した。

三島由紀夫の『不道徳教育講座』はかつて期間限定で出ていたピンクカバーの文庫とカバーを外すと表紙がピンク色の単行本を並べている。長新太の絵本で使われるピンクはいつ見ても鮮烈かつ強烈で素晴らしい。いま新たに選書をするなら『Pink: The History of a Punk, Pretty, Powerful Color』も追加していただろう。

Information

Year

2018(2020.11 close)

Art Direction

千原徹也(れもんらいふ)