三越伊勢丹 彩り祭 2017
「MYSTERY OF MYSTORY」
三越伊勢丹グループが秋冬のファション立ち上がりに行うキャンペーンのクリエイティブディレクション。
コミュニケーションテーマであった「謎とき/GAME」から導き出した「解くファッション=ファッションとは、ルールを超えて自分を発見し続けること」をコンセプトに、ファッションと人の関係を解きほぐすビジュアルを意図した。
「解く」の持つ多様な意味はファッションと個性、ファッション括弧書きの「自分らしさ」との関係について考えるきっかけとなる言葉であり、ビジュアルのキーワードとなった。
1 結んだりしばったりしてあるものをゆるめて分け離す。ほどく。「帯を―・く」「包みを―・く」
2 縫い合わせてあるものの糸を抜き取って離す。また、編んであるものをほどく。「着物を―・く」「セーターを―・く」
3 ㋐もつれたものをもとに戻す。ほぐす。「からまった釣り糸を―・く」
㋑(「梳く」とも書く)もつれた髪に櫛 (くし) を入れて整える。とかす。すく。「乱れた髪を―・く」
4 着ていたもの、身に取り付けたものをはずす。「旅装を―・く」
5 命令・束縛・制約などから解放する。「鎖を―・く」「統制を―・く」「契約を―・く」
6 任務・職をやめさせる。免じる。「任を―・く」
7 拘束していた態勢を崩してもとの状態に戻す。「警備を―・く」「武装を―・く」
8 心のわだかまりや緊張状態をほぐす。ふさがっていた気持ちをすっきりさせる。「怒りを―・く」「疑いを―・く」「誤解を―・く」
9 筋道をたどって解答を出す。「問題を―・く」「なぞを―・く」
ピタゴラスイッチなどで知られる、世界のリアリティを異なる視点から表現するユーフラテスのアートディレクター、山本晃士ロバートとともに、不思議な空気感のある“MYSTERY OF MYSTORY”な世界をつくった。壁のように立っているラックに掛かる服、モデルが歩きながら通過するといつの間にか服が着替えられている。手品のようにスムーズにすり抜けながら、軽々と自分を変えていく。“私の物語の謎”という、私が私であることの強烈さではなく、自然と相手や状況で切り替わる自分や装いについて、そうさせている社会や文化のコードを意識しながらも軽やかに生きていくことのしなやかさや楽しさを含めた。自分で自分のことを100%わかっているということはおそらくなく、そのわからなさを見ないふりするのではなく、それを含めて自分であると捉えるあり方をビジュアルの裏に込めている。
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ファッション/モードが、情報やイメージだけなく物質として未知のモノ(=新しいクリエイション)を味わい、喜ぶことであるとするならば、それはたしかに失われつつあるかもしれない。ランウェイショーに並ぶ人々が構える携帯のカメラ越しに、私たちは最新のファッションを見ています。
コム デ ギャルソンの川久保玲は、「(洋服はなくても死ななないが)感覚的なこと、きれいだとか、好きだとか、それを考えて自分を表現することがなければ人間はないし、つまらないと思うのです。ファッションは食べることに近いくらい大事なことだと思います」と言いました。効率や価格で判断し、ファストフードを食べ続ければ不健康になります。同様にファストファッションを消費し続けたら、私たちは不健康になるのかもしれません。インフラのように各地に浸透したファストファッションを否定するのではなく、インフラのように”すでに与えられたもの”から一歩踏み出し、自ら考え、感じ、選び取ること。
皆が高いお金を払いラグジュアリー(ミネラルウォーター)を着れるわけでも、着たいわけでもありません。おいしい/オシャレも、まずい/ダサいも人それぞれ。大事なのは、自分という価値観を信じつつも、知らない自分、知らない社会に対して心身ともに開かれているかということ。その上で、モノを選ぶときそこに何を感じ、考えたのかということ。自分も世界も密室に閉じこもらず、外の世界で知らないものと出会うことです。
ファッションは制服(≒インフラ)ではなく、着る人自身が自身と対話し、読み解く=理解する個別化のツールです。ファッションへの感性/直感は、すべて自分がコントロールし、論理ですべてを説明し尽くせるものではありません。何かの不可知のトリック(?)が働いています。それは、様々な状況/条件を検討(推理)した結果この服がいいのだと思うに到る、最後の1ピース。ファッションのファンタジーはいつもそこにあります。「日常って、あまり変わることがないですよね? その中で僕は、洋服が日常を変えることができる唯一残された手段だと思うんです。だから洋服を通して、僕はその日常を少し変えていきたい」(アンリアレイジ 森永邦彦)
ファッションとはただ服というモノのことを指すではなく、ファッションの持つファンタジーと人が出会うことによって、これまでのマイルールを超えた、新しい自分を発見し続けていくコトなのです。
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【credit】
Art Direction:山本晃士ロバート(ユーフラテス)
Photograph:平野太呂
Styling:島田辰哉
Hair & Make:奥平正芳
Model:モトーラ世理奈
Web Design:石黒宇宙(gm project)
Client:三越伊勢丹
Information
- Year
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2017
- Art Direction
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山本晃士ロバート(ユーフラテス)
- Photograph
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平野太呂
- Styling
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島田辰哉
- Hair & Make
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奥平正芳
- Model
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モトーラ世理奈
- Web Design
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石黒宇宙(gm project)
- Client
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三越伊勢丹